宮古島のサンゴ礁を守る|八重干瀬(やびじ)の白化と保全活動
環境保全

宮古島のサンゴ礁を守る|八重干瀬(やびじ)の白化と保全活動

海亀兄弟編集部
2025年5月1日
14分で読めます
宮古島の宝であるサンゴ礁が、温暖化や人間活動の影響で危機に直面しています。日本最大級の八重干瀬を守る取り組みと、旅行者ができる環境保護アクションを解説します。

宮古島の宝であるサンゴ礁が、温暖化や人間活動の影響で危機に直面しています。透明度抜群の「宮古ブルー」の海を支えるサンゴ礁は、多様な海洋生物の住処であり、漁業や観光の基盤でもあります。日本最大級のサンゴ礁群「八重干瀬(やびじ)」の現状と、地元ダイバーやNPOによる保全活動、そして旅行者一人ひとりができる環境保護アクションをご紹介します。

1. 宮古島のサンゴ礁の重要性

世界有数の多様な生態系

宮古島周辺の海には、250種以上のサンゴが生息しており、世界有数の多様性を誇ります。カラフルな熱帯魚、ウミガメ、マンタなど、多くの海洋生物がサンゴ礁を住処としています。

漁業・観光・防波の役割

サンゴ礁は、漁業資源の供給源であり、観光資源でもあります。また、波を和らげる防波堤の役割も果たしており、島の生活を守っています。

八重干瀬は国の天然記念物・名勝にも指定

宮古島の北方約5〜22kmに広がる八重干瀬(やびじ)は、日本最大級のサンゴ礁群。国の天然記念物および名勝に指定されており、その美しさと生態系の豊かさは世界的にも評価されています。

2. サンゴ白化とは

🌡️ 海水温上昇が主な原因

サンゴ白化は、海水温が30℃を超えるとストレスを受け、サンゴと共生する褐虫藻が失われることで起こります。褐虫藻は、サンゴに栄養を供給する重要な存在です。

🌞 強い日差しや高水温で褐虫藻が失われ白くなる

褐虫藻が失われると、サンゴは白く見えるようになります。これが「白化」と呼ばれる現象です。

🐠 回復する場合もあるが長期化すると死滅

白化したサンゴは、海水温が下がれば回復する場合もありますが、長期化すると死滅してしまいます。近年、地球温暖化の影響で、白化現象が頻発しています。

3. 八重干瀬の現状と課題

近年の白化被害と一部エリアでの回復

環境省のモニタリング調査によると、八重干瀬では2016年、2017年、2020年に大規模な白化現象が確認されました。一部のエリアでは回復の兆しも見られますが、依然として厳しい状況が続いています。

台風による破壊・堆積物による被害

台風による波浪や、陸地からの土砂流入も、サンゴ礁にダメージを与えています。特に、開発による赤土の流出は、サンゴの光合成を妨げる原因となっています。

環境省のモニタリング調査の結果

環境省は、八重干瀬を含む宮古島周辺のサンゴ礁を定期的にモニタリングしています。調査結果は、保全活動の指針として活用されています。

4. 保全活動と取り組み

🤝 地元ダイバーとNPOによるサンゴ移植・苗づくり

地元のダイビングショップやNPOは、サンゴの移植や苗づくりに取り組んでいます。健康なサンゴの断片を採取し、育成してから海に戻す活動が行われています。

🧪 環境省・研究機関による長期観測

環境省や大学などの研究機関は、サンゴ礁の長期観測を行い、白化のメカニズムや回復過程を研究しています。

🧹 ビーチクリーン・オニヒトデ駆除

地元住民や観光客が参加するビーチクリーン活動や、サンゴを食べるオニヒトデの駆除活動も行われています。

5. 旅行者ができる環境保護アクション

✅ サンゴを踏まない・触らない

シュノーケルやダイビング中は、サンゴを踏まない、触らないよう注意しましょう。サンゴは非常にデリケートで、一度傷つくと回復に長い時間がかかります。

✅ 環境に優しい日焼け止めを使う(紫外線吸収剤フリー)

一般的な日焼け止めに含まれる紫外線吸収剤は、サンゴに悪影響を与えることが分かっています。「リーフセーフ」や「紫外線吸収剤フリー」と表示された日焼け止めを使いましょう。

✅ ごみを持ち帰る・ビーチクリーンに参加

ビーチや海に落ちているゴミは、海洋生物やサンゴに悪影響を与えます。ゴミは必ず持ち帰り、可能であればビーチクリーン活動に参加しましょう。

✅ エコツアーや環境配慮型ショップを選ぶ

環境保全に取り組んでいるツアー会社やショップを選ぶことで、保全活動を支援できます。

6. 未来に向けての取り組み

子ども向け環境教育

地元の学校では、サンゴ礁の重要性や保全活動について学ぶ環境教育が行われています。未来を担う子どもたちに、海を守る意識を育てることが重要です。

エコツーリズム拡大による保全資金確保

エコツーリズムを通じて得られる収益の一部を、保全活動に充てる取り組みが進んでいます。旅行者が環境に配慮した旅行を選ぶことで、保全活動を支援できます。

地域と観光業の連携によるサンゴ保護

地域住民、観光業者、行政が連携し、サンゴ礁を守る取り組みが進んでいます。持続可能な観光の実現に向けて、様々な取り組みが行われています。

7. よくある質問(FAQ)

Q. 白化したサンゴは元に戻る?
A. 海水温が下がれば、白化したサンゴは回復する場合もあります。ただし、長期化すると死滅してしまうため、早期の対策が重要です。

Q. オニヒトデ駆除って観光客でも参加できる?
A. 一部のツアー会社では、オニヒトデ駆除体験を提供しています。事前に確認してみましょう。

Q. 環境に優しい日焼け止めはどこで買える?
A. 宮古島の一部のショップやオンラインで購入できます。「リーフセーフ」や「紫外線吸収剤フリー」と表示された製品を選びましょう。

Q. エコツアーはどこで予約できる?
A. 環境保全に取り組んでいるツアー会社は、宮古島観光協会のウェブサイトや各ツアー会社の公式サイトで確認できます。

Q. 子連れでも保全活動に参加できる?
A. はい、ビーチクリーン活動など、子どもでも参加できる活動があります。家族で環境保全に取り組むことで、子どもたちに海を守る意識を育てることができます。

8. まとめ

宮古ブルーの海を未来につなぐために、旅行者一人ひとりが小さな行動で大きな変化を起こせます。サンゴを踏まない、環境に優しい日焼け止めを使う、ゴミを持ち帰る、エコツアーを選ぶなど、できることから始めましょう。宮古島の美しいサンゴ礁を守り、次世代に引き継いでいくために、私たち一人ひとりができることがあります。

タグ
宮古島サンゴ白化八重干瀬サンゴ礁保全環境問題エコツーリズム

執筆者

海亀兄弟編集部

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